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附置研究会報告

胃内視鏡検診標準法 【胃内視鏡検診標準化研究会の経緯】

最近の医学の進歩は目覚しく,種々疾患の高危険群がより明確になり,高危険群を対象とした医療が重要になるものと考えられる。2004年に発表されたNIHのいわゆるRoad Map には「high risk research」が最重要課題である事が明記されており,それ以後,世界の医療はその方向に進んでいる。

日本消化器がん検診学会にあっては,既に2002年DDW-Japanにおいて,シンポジウム1「遺伝子診断を応用した消化器集団検診の可能性」,杉村隆先生の特別講演「ゲノミックスは消化器がん検診に何時,どのように寄与できそうか?」を企画し,high risk research を導入した消化器がん検診の可能性が検討された。

続いて,2004年DDW-Japanワークショップ23「胃内視鏡検診の標準化」が企画され,胃内視鏡検診の標準化に関わる種々の問題点が明らかにされたが胃内視鏡検診の標準化の具体案の提示までには至らなかった。しかし,医療の現場では,多くの施設で既に胃内視鏡検診が行われており,内視鏡検診受診希望者も年々増加傾向を示している。また,現在行われている胃内視鏡検診は,標準法が明らかでない ため,各施行者が独自の判断で行っており,少なからず混乱を招いており,学会としての標準法の提示が望まれているところである。

このような背景下,2005年に日本消化器がん検診学会付置研究会「胃内視鏡検診標準化研究会」が発足した。多岐に渡る問題点が提起されたが,1.胃内視鏡検診検査手順,2.偶発症と対策,3.見逃しと対策・検査精度,4.対象の集約(高危険群)の4部門に大別し検討することとした。すなわち,表1に示すように,2006年,2007年春の本学会総会時に付置研究会として開催するとともに,同年秋のDDW-Japanに主題として合計4回の研究会で検討した。本稿は,2008年春の本学会総会時に行われた本付置研究会の報告会の要旨をまとめたものである。積み残した課題も多く,最終的な胃内視鏡検診標準法の提起には至らなかったが,現状に即した,胃内視鏡検診標準法の提起ができたものと考える。

最近,胃がん検診の受診率が低迷する中,検診の有用性が叫ばれ,50%受診率を目標に進められている。しかし,医療機器の進歩がめざましいとはいえ,胃がん検診対象者の50%を内視鏡検診することは現時点では物理的にも人的にも不可能であることは誰の目にも明らかである。胃がん検診対象者の50%をカバーしうる内視鏡検診標準法などできるわけがない。しかし,医療の現場では,前述のごとく既に胃内視鏡検診が各施行者独自の判断で行われており,可及的早い標準法の提示が望まれているのも事実である。本稿はこのような状況下で,現実に即して模索された内視鏡検診標準法であるため,対策型検診,任意型検等を含め,統一した記載が困難な部分が含まれていることをご了解いただきたい。

したがって,真の意味での胃内視鏡検診標準法は然るべき対象の集約が可能になったとき策定できるものと期待している。

分子生物学が進歩し,種々の情報を我々に与えてくれている。これらの情報を駆使すれば,近い将来然るべき対象の集約は可能であると確信している。次のステップは新しい対象集約法を導入した効率的な胃内視鏡検診法の検討である。

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大腸集検方法一部改正による「大腸がん検診方法」のお知らせ

2007年1月


大腸がん検診方法新旧対照表

改正前 改正後
大腸集検方法 大腸がん検診方法
1.対象年齢
原則として40歳以上とする。
1.対象年齢
原則として40歳以上とする。
2.検診間隔
逐年検診とする。
2.検診間隔   
逐年検診とする。
3.検診方法
スクリーニングは免疫便潜血検査を用いる。(注1)
原則として2日法を行う。(注2)
3.検診方法
スクリーニングは免疫便潜血検査2日法を用いる。(注1)
4.精密検査
シグモイドスコープ観察に続いて注腸X線検査(二重造影)を行うか,全大腸内視鏡検査を行う。(注3)
4.精密検査
・全大腸内視鏡検査を第一選択とする。
・全大腸内視鏡検査の実施が困難な場合には,S状結腸内視鏡検査と注腸エックス線検査の併用が次善の手法である。(注2)
・精密検査の代わりに,再度,便潜血検査を実施し,判定することは不適切である。
(注1)採便はなるべく便の表面と内部の2ヶ所から行うのが望ましい
(注2)コンプライアンス,コスト等の施行特性にかかわる諸条件が整っていない場合には,1日法を用いてもよい。
(注3)処理能力等の問題がある場合には,精度の高い注腸X線検査(二重造影)だけでもよい。
(注1)採便はなるべく便の表面の広い範囲から行う。
(注2)注腸エックス線検査単独による精密検査は,その専門施設に限って行われるべきである。
付 記:各項目は今後の研究の進展,新技術の開発等により改訂されるべきものである。 付 記:とくに対象年齢および検診間隔については今後の研究の進展で改訂されるべきである。

注)大腸がん検診方法は「大腸集検法」として最初に本学会誌第86号(1990年3月発行,P.10)に掲載され,次いで,第31巻2号(1993年3月発行,P.13)で一部改訂された。

なお,「大腸がん検診」は集団の死亡率減少を目的として行われるいわゆる対策型検診を主に指すものである。

大腸がん検診精度管理委員会附置研究会 名簿
代表世話人 斎藤  博 国立がんセンターがん予防・検診研究センター検診技術開発部
世 話 人 樋渡 信夫 いわき市立総合磐城共立病院
松田 一夫 福井県健康管理協会県民健康センター
西田  博 松下健康管理センター
鈴木 康元 松島病院大腸肛門病センター
松永 厚生 松永厚生クリニック
三原 修一 日本赤十字社熊本健康管理センター
西村 元一 金沢大学医学部附属病院 消化器外科
島田 剛延 宮城県対がん協会がん検診センター



附置研究会:胃がん検診方式検討研究会発足のお知らせ

このたび,平成18年10月12日の理事会において,下記のとおり新たな胃がん検診方式の検討とその確立・普及を目的に標記の附置研究会の新設が承認されましたのでお知らせいたします。

2007年1月
胃がん検診方式検討研究会 代表世話人 三木 一正

背 景:

ペプシノゲン(PG)法の胃がん発見能については,間接レントゲン,直接レントゲンに勝るとも劣らないものであることは,すでに自明のものとおもわれるが,がん検診の評価法である「死亡率減少効果」の観点からみると,疫学的評価に耐えうる研究がほとんど行われていないのが現状である。平成17年度厚生労働省「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班(祖父江班)においても,ヘリコバクター・ピロリ(Hp)抗体価検査法とともに「胃がん検診として行うための死亡減少効果を判断する根拠が不十分であるため,集団を対象として実施することは勧められない」という評価になっている。また国立がんセンターがん予防・検診研究センターが一般の受診者向けに発行している「がん検診読本」においても,「効果のあると判定されている検査は胃X線検査で,胃がんを発見するための検査という観点から,『PG検査,Hp抗体検査』は効果不明と判定されている」と説明されている。すでに普及しているPG検査,Hp抗体検査についてこのような評価状況が続くことは,国民に対してPG法,Hp抗体検査法に対する誤解を深めてしまうことになり,また当学会にとっても大きな不利益である。がん検診の死亡率減少効果についての研究は,多くの時間と費用がかかり,死亡情報の入手や取り扱いも難しく,個人情報保護の点からも年々実施は困難になっており,一研究者,一施設の立場で,エビデンスを確立することはほぼ不可能な状況である。そこで当学会内に,PG法,Hp抗体検査法などを加えた「新しい胃がん検診方式」に関する検討を行う附置研究会を立ち上げ,学会として新しい胃がん検診方式を推奨できるよう当学会が中心となって行動することが望まれる。

目 的:

新たな胃がん検診方式の検討とその確立・普及

事 業:

本会は上記の目的達成のために以下の事業を行う。

  1. 研究モデルを作成する
  2. モデル地区の公募を検討する
  3. 学会員の施設からの情報収集体制を確立する
  4. 行政からの死亡情報の収集のための折衝をバックアップする
運 営:
  1. 研究会は原則として日本消化器がん検診学会総会・大会の期間中に行う
  2. 研究会の運営は,代表世話人,世話人および当番世話人が行う
  3. 研究会は,学会開催時に学会会長の主導のもとに開催する
  4. 研究会開催は,当番世話人がこれにあたり,その成果を公表する
  5. 会場運営に関しては当該学会会長に依頼する
  6. 上記事業について2年間実施する予定である
胃がん検診方式検討研究会 名簿
代表世話人 三木 一正 東邦大学名誉教授
世 話 人 伊東  進 徳島文理大学人間福祉学科
芳野 純治 藤田保健衛生大学第2病院 内科
渡邊 能行 京都府立医科大学大学院 医学研究科地域保健医療疫学
一瀬 雅夫 和歌山県立医学大学 第2内科
斉藤 洋子 茨城県メディカルセンター 消化器内科
渋谷 大助 宮城県対がん協会 がん検診センター
吉原 正治 広島大学保健管理センター
斉藤 大三 日本橋大三クリニック
春間  賢 川崎医科大学内科学・食道・胃腸科
井上 和彦 松江赤十字病院消化器内科

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