一般社団法人 日本消化器がん検診学会

お知らせ

消化器がん検診にあたっての新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について(第3報)

 今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対しては、国・厚労省を始めとする各所より感染拡大防止の取組が要請されているところであり、消化器がん検診の実施にあたっても国の指針や自治体・企業等の要請ならびに各検診機関における体制等を考慮した感染防止対策が求められます。

 4月以降には2020年度対策型検診として実施する住民検診や職域検診、また人間ドックとして実施する任意型検診等が開始されること思いますが、その実施にあたっては、地域の感染状況を踏まえ、実施主体である自治体や企業、また医師会等と実施の可否につき綿密な打ち合わせを行い、検診実施の延期や中止等も含めた対応をとるようお願いします。また、個別の任意型検診については、関連学会等からの情報も踏まえ、各施設で検診実施の延期・自粛も含めた対応について十分に検討するようにお願いします。

 特に、感染拡大地域においては検診実施の延期を積極的に考慮すべきと考えますので、政府や自治体が公表する感染状況や各種情報に注視して時宜を得た対応をとっていただくようお願いします。国内の感染状況については下記サイトを参考にしてください。

検診実施にあたっての対応について

 新型コロナウイルス感染状況は日々変化しており、地域によっても対応に差異がありますが、各施設においては、国のCOVID-19対策本部より示される基本方針を踏まえ、適切な感染防止対策を講じるようお願いします。

内閣官房:https://www.cas.go.jp/jp/influenza/novel_coronavirus.html

厚労省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html#houshin

※健康増進事業としての消化器がん検診の実施については4月14日厚労省・事務連絡に基づいた対応をとるようにお願いいたします。
「新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言を踏まえた健康増進事業の実施に係る対応について」
https://www.ningen-dock.jp/wp/wp-content/uploads/2015/12/covid19_dock_20200414.pdf

消化器がん検診を実施する場合、本学会では以下の点に配慮し感染拡大防止に努めることを推奨します。

1. 37.5℃以上の発熱や咳・倦怠感等がある受診者ならびに下記に該当する方については検査を延期する等の措置をとることを検討してください。
 

○ 2週間以内に新型コロナウイルスの患者やその疑いがある患者(上記症状にて医療機関受診中のものを含む)との濃厚接触歴がある方

 

※4月20日より感染可能期間と濃厚接触者の定義が変わりました:
国立感染症研究所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus.html
新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年4月20日暫定版)

 感染可能期間:新型コロナウイルス感染症を疑う症状を呈した2日前から隔離開始まで
 濃厚接触者:患者(確定例)と感染可能期間に接触した者のうち、患者の同居者、診療・介護にあたった者、患者の気道分泌液や体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者や手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしに15分以上の接触があった者など

  ○ 2週間以内に感染流行地域への渡航歴がある方(流行地域はアップデートされた情報に基づいて判断してください)
  ○ 2週間以内に感染拡大地域に居住・滞在していた方や該当する方と濃厚接触していた方
  ○ 2週間以内にライブハウス等の人の多いお店や接待を伴う外食店に行かれたことがある方
2. 受診者に対面する検診スタッフにはマスク装着やアルコール手指消毒の徹底を図るとともに、発熱・咳・倦怠感等のある者は業務に従事させない等の対応を考慮する。
3. 集団検診の実施にあたっては、特にバス検診などの場合は、クラスター発生のリスクが高いとされる以下の3つの条件にならないように会場設営や受け入れ人数・受付時間等に十分に配慮し、換気や手指洗浄・消毒等について徹底する。
  ① 換気が悪い密閉空間
  ② 多くの人が集まる密集場所
  ③ 間近で会話や発生する密接場面
4. 高頻度に接触する可能性のある機材等(X線装置や超音波プローブ※1 も含む)はアルコールや抗ウイルス作用のある消毒剤※2 含有のクロスで清拭消毒する等の対策を講じる。
  ※1 日本超音波医学会:COVID-19 流行下において超音波検査と装置クリーニングを安全に実施する方法 https://www.jsum.or.jp/committee/uesc/pdf/covid-19_safe_method.pdf
  ※2 日本環境感染学会による「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第2 版改訂版 (ver.2.1)」では0.05%の次亜塩素酸ナトリウムも有効とされています。
5. 1次検診ならびに精密検査としての上下部消化器内視鏡検査の実施にあたっては、スタンダードプリコーションを徹底する。なお、日本消化器内視鏡学会の提言では、フェースシールド付きマスク(またはゴーグル+マスク)、手袋、ガウン(長袖)等の自己防護具の着用が推奨されている。
  日本消化器内視鏡学会:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への消化器内視鏡診療の対応について https://www.jges.net/news/news-official/2020/03/25/27450
6. 新型コロナウイルスは気道分泌物および糞便から分離される。従って、ジャクソン式スプレーを用いた咽頭麻酔や経鼻内視鏡検査のスティック法による鼻腔麻酔等の前処置を担当するスタッフも自己防護具の着用が望まれる。また、大腸内視鏡検査の前処置として院内で下剤を内服させる場合、受診者が使用したトイレ等もアルコールや抗ウイルス作用のある消毒剤による清拭が必要である。排泄物を処理する場合には個人防護具の着用が望ましい。大量のエアゾル発生が起きた場合や受診者の排泄物に直接接触した場合などはガウンやマスクも交換することが望ましいが、ガウンやマスクの在庫不足・そのコストなどを勘案して各施設で対応可能な基準を定めていただきたい。
  ※4月14日厚労省新型コロナウイルス感染対策推進本部からの事務連絡「サージカルマスク、長袖ガウン、ゴーグル及びフェイスシールド、 の例外的取扱いについて」では、これらを再利用するなど個人防護具の例外的取扱いにより効率的に使用することが可能であるとしています。下記を参照してください。

厚労省新型コロナウイルス感染対策推進本部事務連絡 「サージカルマスク、長袖ガウン、ゴーグル及びフェイスシールドの例外的取扱いについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/000622132.pdf

 

今回記しました内容については、政府等からの情報更新に伴い随時改正される可能性があります。

2020年4月23日
一般社団法人日本消化器がん検診学会
理事長 渋谷 大助

お知らせ